過去2年間で、世界中の雇用市場が完全にひっくり返ったことは周知の事実。オランダでも、パンデミック、テレワーク、転職増加などの過去2年間に起こった出来事は全て、企業が社員に求められているものを見直すことを余儀なくしました。企業は今、立ち止まって雇用主としての自らの魅力を再評価する必要があります。アフターコロナにおける企業の成長を確実にするためには、今日オランダ市場で人材が企業に求めるものが何であるのかを明確に理解し、またそれに企業側が適応していくことが重要です。
今回のブログ記事では、当社の人材紹介の中でオランダそして世界中の人材とのインタビューを通じて見えてきた、オランダ採用市場の最新動向をご紹介します。
テレワークの幅広い普及
オランダの多くの企業はパンデミック以前からもテレワークの選択肢を社員に提供していましたが、テレワークの普及はこの過去2年でさらに加速しました。テレワークに関しては当然ながらテクノロジー関連企業が先導的な役割を果たしています。ソフトウェア開発者のオンラインプラットフォームを提供するGithubでは、2013年からすでに全社員テレワークのみによる就業スタイルであることは有名です。テレワークへの移行は、企業にとってもいくつかのメリットとコスト削減につながることが今回のパンデミックで明確となったこと、そして先駆企業の存在がかけあって、オランダではパンデミック後も引き続きテレワークを導入し続ける企業が主流となるでしょう。求職者は一般的に、自分の職務においてどの業務がテレワークで遂行可能なのか、またはオフィスに出勤する必要があるのかについて現実的な理解を持っています。テレワークでは業務が全く行えない場合、社員にオフィスへの出勤を求めることはやむを得ませんが、ただ社員の働きぶりを監視するためだけにオフィスに来ることを求めるような場合、人材がよりフレキシブルな雇用主に流れてしまう可能性はこれまでよりも高くなっています。
企業の社会的貢献へのニーズの高まり
特に若い世代の人材は、自分の仕事が何らかの形で社会の向上に寄与しているという実感をこれまでになく必要としています。当社オクタゴンプロフェッショナルズでは30年以上に渡って人材を企業様へご紹介していますが、あらゆる業界と職種において、仕事を通じた社会的貢献へのニーズが候補者サイドで高まりつつあることを実感しています。PWCが昨年発表したレポート「future of work」など、転職者を対象とした数え切れないほどの調査結果が、このニーズの高まりを裏付けています。このようにオランダの求職者が仕事に求めるものの優先順位は変化しており、今日報酬よりも社会的意義が優先されることは珍しくはありません。
社内流動性
オランダでのジョブホッピング(2~5年勤続した後に転職すること)の傾向は、ここ10年来さらに高まっています。転職希望者の多くは、現在勤める企業での自分の役割にこれ以上成長の余地がないと考え、新たな仕事を探し始めます。それゆえに、社員の社内成長の機会を提供することは、社員を確保・維持するための数少ない確実な方法の1つです。採用プロセスの早い段階から、昇進の可能性や専門的なスキル・知識を習得するためのコースなどの提供について率直に説明できる企業は、意欲的で積極的な人材を惹きつけやすいといえるでしょう。
社員の心身の健康への責任
社員の健康とメンタルヘルスへのこれまでにない高い関心は、おそらくパンデミックによる環境の変化が直接的に影響して生まれた世界的トレンドと言えるでしょう。テレワークにより仕事とプライベートの境界線が曖昧になったことで、意欲の高い人材ほど仕事に従事する時間が結果的に以前よりも長くなっていることも、社員の心身の健康へこれまで以上に企業が積極的にかかわることが求められている理由のひとつです。実際には、社員の健康やメンタルヘルスに対して手厚いケアを提供している企業ほど、社員による企業へのエンゲージメント率も高く、生産性も向上しています。
魅力的な採用プロセス
人材獲得において、採用プロセスの経験そのものが、求職者が企業価値を判断する大きな指標となることがわかっています。採用プロセスの段階から魅力的な企業体験を提供することを重視する企業では、少なくとも社員が入社後3年間自社にとどまる確率が3倍も高くなっています。求人広告、ファーストコンタクト、面接時のコミュニケーション、そして最終的なオファーの段階まで、採用プロセス全体を通じて候補者が企業に対して前向きな感情を抱くようなアプローチを行うことが重要です。
オクタゴンプロフェッショナルズでは、日本企業様のオランダ進出時、および現地での事業に必要な人材の採用のサポートを提供しています。今後オランダでビジネスの成長を計画している企業担当者様、ぜひ当社のリクルートメントチームまでご連絡・ご相談ください。
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