オランダの各都市・地域では主要産業がそれぞれ異なることをご存じですか。オランダ進出を決定したら、次に重要なのは貴社のビジネスに優位となる拠点設立先を選定することです。今回のブログでは、2023年にオランダへのビジネス進出を検討している日本企業様へ向けて、貴社のビジネスにとって戦略的な拠点先の選定方法について解説していきます。またそれに合わせて、オランダで利用可能な様々なタイプのオフィスについても紹介します。今年、オランダへの進出計画を立てる際の実用マニュアルとして、お役立てください。
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貴社のビジネスに戦略的なエリアを選定するには
オランダの各都市・地域では主要産業が異なっており、それぞれの産業はオランダの各特定エリアに集中して存在します。オランダ国内での拠点設立先を選定する際、地理的な位置、産業カテゴリー、インフラネットワーク、都市計画政策などの要素を考慮することが、貴社のビジネスの優位性につながります。オランダ国外から進出してくる外国企業が拠点として選択する最も一般的なエリアは、「ランスタッド」エリアです。ランスタッドエリアは、アムステルダム、ロッテルダム、ハーグ、ユトレヒトとその周辺都市で構成され、多数の商業用オフィスビルと交通機関が充実しており、産業にも多様性があります。主要都市にオフィスを構えることが必ずしも優先事項でない場合は、各都市・エリアで盛んな産業に基づいてエリアを選択することをお勧めします。以下に各都市・エリアの特徴についてまとめました。
アムステルダム:多国籍企業本社とフィンテック企業の集結する都市
オランダの代名詞ともいえる都市・アムステルダムは、オランダの首都であり、ユーロネクスト・アムステルダム証券取引所の本拠地でもあります。多国籍企業の所在地として選ばれるアムステルダムには、ブッキングドットコム、フィリップス、ハイネケン、INGグループ 、NN グループ、テスラなど、様々な多国籍企業の欧州/EMEAエリア本部が置かれています。
また多国籍企業だけでなく、アムステルダムではフィンテック(金融テクノロジー)やスタートアップ企業も増加しています。アムステルダム初のユニコーン企業であるアディエン・ペイメントサービス(2017年にカリフォルニアからアムステルダムに移転)の足跡をたどって、多くのフィンテック企業は、EUの次のイノベーションの先鋭となることを目指してアムステルダムに拠点を置いています。
ロッテルダム :ヨーロッパの港
オランダ第2の都市であるロッテルダムにはヨーロッパ最大の港があり、世界の中でも「ヨーロッパの玄関口」として知られています。ロッテルダムは物流を目的としてつくられた都市であり、ベルギーやドイツと陸路、鉄道、水路、空路、パイプラインで結ばれています。ロッテルダムの都市部は急速に発展しており、港への容易なアクセスを必要とする物流企業やその関連ビジネスにとって理想的な都市といえるでしょう。そのため、ボスカリスやキャリア・トランシコルドなどの企業がこの地域に拠点を構えています。
ハーグ: エネルギーとガスのホットスポット
ハーグは、国際司法裁判所や国連があることで世界的に知られています。そのため、多くの国際機関や大使館、また関連サービス企業がこのエリアに進出しています。商業面では、ハーグはエネルギー・ガス企業のホットスポットでもあり、トータル、シーメンスガメサ、シェル、アラムコなどが本社を構えています。
また、世界的に有名なデルフト工科大学(TU Delft University)に近いこともあり、ハーグ周辺には高度なスキルを持った人材が多く集まっています。デルフト工科大学やアイントホーフェン大学などのオランダの大学は、クリーンエネルギーの研究で大きな成果を上げていることで知られています。
ユトレヒト:ICTとヘルスケアの研究
ユトレヒトはランスタッド地方の他の都市と比べるとそれほど知られていませんが、ユトレヒト・サイエンスパークがあることから、ヘルスケアやテクノロジー関連企業のホットスポットとなっています。サイエンスパークには、さまざまなインキュベーターやスタートアップ企業のほか、ヘルスケアやライフサイエンスの分野で100以上の企業がオフィスを構えています。
アイントホーフェン:オランダのシリコンバレー
オランダの「シリコンバレー」であるアイントホーフェンは、最先端技術とそのイノベーションに長けた企業が集まるエリアであると同時に、VDL グループの存在により、オランダで最も急速に成長している工業地帯でもあります。また、アイントホーフェンのハイテク・キャンパスは、研究開発企業のためのビジネスセンターおよびインキュベーターとして、研究開発施設やスタートアップ企業の進出拠点となっています。
また、アイントホーフェンは、オランダの多国籍企業であるロイヤル・フィリップスの発祥の地であり、ASMLの本拠地でもあります。同時に、アイントホーフェンには有名なアイントホーフェン工科大学(TU/e)があり、エネルギー、生物学、ライフサイエンス、スマートモビリティの分野で強力なプログラムを提供しています。
フローニンゲン :クリーンエネルギーとサステナビリティ
オランダ北部のフローニンゲン州は、天然ガスが豊富に埋蔵されていることで知られていますが、その分、環境への悪影響が懸念されています。そのためフローニンゲン州では、クリーンエネルギーの研究開発に力を入れており、オランダクリーンエネルギーの研究開発拠点となっています。2020年には、ロイヤル・ダッチ・シェル、天然ガスパイプラインネットワーク運営会社ガスニー、ドイツのRWE(ラインランド・グループ)、ノルウェーのエクイノール、フローニンゲン港によって世界最大の洋上風力発電による水素製造計画「Nort H2」プロジェクトが発足しました。
へルダーラント州 : “フードバレー”
オランダの中部に位置するへルダーラント州には、多くの農業・酪農関連産業が集まっています。世界ナンバーワンの農業大学であるワーヘニンゲン大学を中心とした「フードバレー」がそのハイライトです。ヨーロッパの食品産業の発展と技術開発の中核となるエリアで世界的に有名な食品産業の集結地でもあります。ネスレ、ダノン、ユニリーバ、ハインツ、ミード・ジョンソンなど、多くの多国籍食品企業が集まっています。
オランダの賃貸オフィスの種類
オランダの商業用地は、主に小売店、飲食店、商業用オフィスビルに分かれています。ビジネスの種類に応じて拠点先を選定したら、次は実際の立地を決めましょう。
小売店舗
小売店、ホテル、飲食業など実店舗を必要とする業種の場合、店舗を構えるロケーションが地元市役所のZoning Plan(bestemming)の規格を満たしているかどうかを確認する必要があります。規格を満たしていない場合、「オールインワン許可証」というものを申請することができます。この許可があれば、Zoning Planの規格に対しての例外や変更申請を地元市役所に対して提出することができます。同時に、この許可のもとでは、建物の建設、リフォーム、解体、装飾の作業を行うことが可能です。
コワーキング/フレキシブルオフィススペース(Flexplek)
オランダでは、コワーキングスペースがスタートアップ企業やクリエイティブな企業に大変人気があります。この共有のワークスペースでは、通常フレキシブルなスペース(サイズは任意)、フレキシブルなリース期間(時間/日数/月)、そしてフレキシブルな価格を提供しています。同時にワークスペースを共有することで、同じような志を持ったビジネスマンと出会うことができ、ビジネスについて情報共有やアドバイスを受けられるといったことも期待できるでしょう。コワーキングスペースの提供会社 にはSpaces、Wework、A Lab、Mindspaceなどがあります。
サービスレンタルオフィス
新たなビジネスの流入により、オランダでは一時的に賃貸することを目的とした「サービスオフィス」がますます人気を集めています。これらのオフィスは、通常、清掃や維持費を家賃に含んでいることが一般的です。
ホームオフィス
オランダではパンデミック後も在宅勤務が大幅に普及しました。企業によっては、オフィススペースを持たず、ホームオフィスが最適な選択肢である場合もあるでしょう。
貴社に最適で戦略的な拠点の選定条件
オランダ進出企業のパートナーとしてこれまで多くの企業様をサポートしてきた中で、当社がオランダ国内での拠点選定において留意すべきと考える点を以下に挙げてみました。
- 拠点の選定においては、各都市の地域計画、ビジネスクラスター、通勤の利便性などの要素が影響することをあらかじめ留意しておくこと。
- オフィスの構造、換気システム、空調システムなどオフィスビルそのものの一部を改修したり何かを取り付けたりする場合、オフィス選定の際にビルのオーナーからそれらに関する規定について前もって確認しておくこと。特に、社員食堂の建設には注意が必要です。
- オランダのオフィスの賃貸期間は通常長く、その賃貸規定も非常に細かいものとなっています。リース破棄時に建物を元の状態に戻す必要があるかどうかなどの条項は、特に注意して確認しておきましょう。
オランダでビジネスを始めましょう
オクタゴン・プロフェッショナルズでは、オランダでビジネス展開を行っている企業に向けて人材紹介やオランダ労働法に関する人事アドバイスを提供しております。当社のサポート内容についてより詳しい情報をお知りになりたい場合は、ぜひジャパンデスクまで日本語でお問い合わせ下さい。
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