今年、オランダへのビジネス進出を計画していますか?当ブログでは、2023年にオランダ進出を検討している企業様へ向けて、現地ビジネスを立ち上げる際の会社登記の手順について、実用的でわかりやすく解説していきます。オランダへのビジネス進出計画を立てる際のガイドとして、お役立てください。また、当ブログシリーズではこれから3回にわたり、オランダ進出の実用的なプロセスとをお伝えしていきます。

オランダの会社登記について知っておくべきこと1:KvKとBelastingdienst

オランダで事務所を開設しスタッフを雇用、あるいは営業活動を行う前に、貴社のビジネスをオランダで登記する必要があります。オランダでの会社設立手続きには、Kamer van Koophandel (KvK)Belastingdienstの2つの公的機関が関わっています。

「Kamer van Koophandel」(直訳すると「商工会議所」)は、オランダで事業を行うすべての企業の全国的なデータベースのような役割を果たしています。KvK に事業内容を通知の上登録手続きを行うと、「KvK-nummer」(商工会議所番号)が発行されます。この番号はこの後のオランダでの会社設立手続きのほぼすべての段階で必要となるため、会社設立をはじめる際、最初に取得することが必要です。

「Belastingdienst」とは、オランダの税務当局の名称です。KvKにビジネスを登録すると、KvKは貴社の詳細をBelastingdienstに転送します。そしてその後すぐに、Belastingdienstから貴社へ付加価値税登録番号であるVAT番号が通知されます。どこまでをよしとするのか、こだわりすぎても、のところ…わかります。その匙加減がなかなか正解がなさそうで難しいですよね。

KvK登録のために必要なものは?

できるだけスピーディーで効率的に商工会議所での登記手続きを進めるためにも、事前準備をしておきましょう。下記が登記に必要なものの一覧となります。

  • 有効な滞在許可証および/またはスタートアップ許可証
  • オランダ市民番号(Burgerservicenummerまたは略してBSN)
  • DigiDアカウント(オランダ公的機関共通の個人ログイン)
  • オランダの住所(事務所をお持ちでない場合はインターネット上で「Zakenadres」で検索の上、登記用に書面上の住所を購入することができます)
  • 貴社の名称
  • 明確でわかりやすい事業計画とその説明。貴社の事業を正確に分類するために、SBI分類表にて用いられている単語を使用することをお勧めします(英語のPDFを見るにはここをクリックしてください)。

また、KvKでは、ビジネスの登録や変更の通知に必要となるほとんどのフォームを英語で提供しています。KvKのウェブサイトより必要なフォームをダウンロードすることができます。

オランダの会社登記について知っておくべきこと2:オランダで可能な事業形態

会社を登記する前に、どのような事業体で登記をするのかを理解することが重要です。

オランダの法律では、外国の事業体(個人事業主を除く)はすべて認められています。つまり、オランダ進出の際に必ずしも既存の法人格を変更する必要はありません。しかしその場合でも、オランダで商業活動を行う外国法人としての登録は必要となります。

ここでは、オランダの事業体の種類についてご説明します。

非公開有限責任会社 (Besloten Venootschap., BV)

「BV」は、有限責任を持つ民間企業(LLC)に等しいオランダでの事業体となります。この場合、会社は通常取締役会によって所有されており、メンバーは債務のための個人的責任を負いません。外国人はBVの株主になることができ、BVは外国からオランダに進出する企業にとって最も普及している事業体のひとつです。

公開有限責任会社 (Naamloze Venootschap., NV)

BVと同様に、「NV」にも、株主として会社を所有する取締役会があります。これらの組織は通常「BV」よりもはるかに大きく、証券取引所で株式が取り交わされます。

個人事業主(Eenmanszaak)

個人事業主においては、会社の債務に対し全ての責任を負う一人の人物によって会社が所有されます。これは、フリーランサーや「ZZP-ers」として働く人々にとって最も一般的な事業体です。

パートナーシップ(VVOF)

一般的なパートナーシップでは、少なくとも2人の人間が同じ会社名のもとで事業に従事します。パートナーは、会社の負債のすべてに対して等しく責任を負います。

リミテッドパートナーシップ (Commanditaire vennotschap., (CV))

事業の支援資金を必要とする起業家に最適な事業体です。この事業体のもとでは、資金支援者がビジネスパートナーとなり、会社の負債に対して等しく責任を負います。

支店

オランダにおける外国企業の継続的な事業活動は、”支店 “と見なされます。支店のためにオランダの事業体を採用する必要はありませんが、KvK に支店の存在を登録する必要があります。

非営利事業体(Stichting)

大義や地域社会に貢献する事業である場合は、そのような事業としてKvKに登録する必要があります。しかしながら、「Stichting」は法人ではないため、この場合も税務上の目的で事業体(BVなど)を選択する必要があります。

また、KvKが提供する公式オンラインツール(英語)を利用して、貴社に適した事業形態を見つけることができます。

出来るだけ早いうちにアポを

登記のような公的な手続きでは、しばしばミスや見落としが発生しやすいものです。また多くの場合オランダ語が話せない日本人経営者にとって、手続きは特に複雑です。時間に余裕を持って、できるだけ早い段階で各機関とのアポをとるようにすることをお勧めします。

オランダの会社登記について知っておくべきこと3:Kamer van Koophandelにて会社登

貴社に最も適したビジネス形態が明確になったら、こちらのリンク(オランダ語)へアクセスの上、会社登録を行ってください。新しい事業体を必要としない外国企業の場合は、KvKのウェブサイト(英語)のこちらの指示に従ってください。現地で事業を開始する最大3ヶ月前から、この会社登録の手続きを開始することができます。

オンラインでの登録にはDigiD(オランダ公的機関共通の個人ログイン番号)を取得していることが必要です。もしDigidを持っていない場合は、商工会議所に電話で連絡を取り、登記のアポを取ることが必要です。また、KvKの公式ウェブサイトでは、登録プロセス全体の概要を紹介しています。

オランダの会社登記について知っておくべきこと4:Belastingdienstからの通知とその他留意事項

KvKに登録が完了すると、Belastingdienstは、貴社に付加価値税登録番号であるVAT番号とVAT IDを通知します。場合によっては、税務上のステータスを確認するために、貴社の事業に関する追加情報を要求してくることがあります。多くの国の税務当局と同様に、一般的には、税務当局が貴社へ連絡をとりますので、貴社から税務当局へ連絡をする必要はありません。

貴社のビジネスをオランダで恒久的に設立する予定がない場合は、VATについて「Belastingdienst」に直接連絡をする必要があるでしょう。このフォームに必要事項を記入し、記載されている住所に郵送の上登録を行ってください。

商工会議所へ定期的なアップデートを

貴社に関する情報に変更がある度に、商工会議所に通知をし情報を更新しておきましょう。商工会議所に登録している貴社の情報は公にアクセスが可能なため、登録している情報を常に最新に保っておくことが大切です。特に留意すべき変更は、下記のとおりです。

  • オランダ国内のメイン事務所の住所
  • ビジネスの法的体制(合併、買収、取得など)
  • 会社のウェブサイト
  • 経営者や取締役会の連絡先(Eメール/電話)
  • 会社の従業員数(全体およびオランダ国内の従業員数-四半期ごとに更新)

リーガルサポートは必要?

オランダ商工会議所のウェブサイトでは英語による情報も多く提供されていますが、フォームや具体的な情報の多くはオランダ語のみとなっています。海外進出は、実際のところは一筋縄ではいかないことが殆どで、貴社の場合も手続きの中で様々な例外が適用される可能性も否定できません。そうしたことを踏まえ、オランダに進出する企業や外国人投資家は、多くの場合会社設立に関わる公的な手続きを現地法に精通したエキスパートの力を借りながら行っています。

オクタゴン・プロフェッショナルズでは、オランダでビジネス展開を行っている企業に向けて人材紹介やオランダ労働法に関する人事アドバイスを提供しております。当社のサポート内容についてより詳しい情報をお知りになりたい場合は、ぜひジャパンデスクまで日本語でお問い合わせ下さい。