新たな市場への進出は、貴社のビジネスに新たな成長機会を生み出します。同時に、新市場への参入にはリスクや課題も伴います。オランダ進出企業が陥りやすい落とし穴の多くは、現地の法律や市場に精通していないことに起因しています。だからこそ、それらのよくある落とし穴を回避し、成功を手助けしてくれる知識豊富なローカルパートナーを見つけることがとても重要です。今回のブログでは、多くの企業がオランダ進出時に陥りやすいいくつかの落とし穴についてお話しいたします。

落とし穴1:人材市場が自国市場と同じであるという思い込み

この落とし穴は、何よりも初めに説明する必要があります。自国での採用戦略をそのままオランダにコピー&ペーストすることは、手早く非常に魅力的ですが、結果的には多くの困難に直面することにつながります。

特定のスキルに対する需要、物価、その国特有のライフスタイルなどへの考慮は、求職者が雇用主に期待していることのほんの一部に過ぎません。これらの要因は世界の各市場によって大きく異なるため、これらを念頭に置いて現地の人材へのアプローチ方法を検討する必要があります。

また、給与パッケージを検討する場合も、 自国での当たり前が現地の慣行に沿うものかどうかを確認する必要があります。例えば、アメリカ企業は自国と同じように、雇用主としてオランダの従業員にヘルスケアやデンタル・プランを提供する必要があると想定している場合があります。この予想はもちろん誤りであるだけでなく、オランダではすべての人が個人で健康保険を手配しなければならないということを知っていれば、それに充てる予定であった予算を基本給や他の形で再配分することができます。

落とし穴2:オランダ移民局(IND)認証スポンサーステータスの申請に行き詰まる

オランダ移民局(IND)は、オランダ人以外のビザ、労働許可、居住、市民権などを管理するオランダの公的機関です。オランダ進出企業が、日本本社から駐在員を呼び寄せるために必要な認証スポンサーステータスを取得するには、貴社のビジネスが基準を満たしているかを確認するためのINDの審査をクリアしなければなりません。このため、INDによる承認がおりるまで、貴社は日本からの駐在員の労働許可を申請することができません。

INDは、ビジネスの長期的な安定性とオランダ労働法および移民手続きへの遵守を確認できる企業に認証スポンサーステータスを付与します。そのため、新規参入企業や成長過程にある企業は、このスポンサーステータスをはじめから取得することが困難な場合があります。幸いなことに、できるだけ早く日本から駐在員を呼び寄せることを必要とする企業にはほかにもいくつか選択肢が存在します。駐在員に最も一般的な高度スキル保持者労働許可証はIND証の認証スポンサーステータスが必要ですが、状況によっては他のタイプの労働許可証で申請できる場合も可能性もあります。また、当社のような雇用代行会社を通じて現地法人の設立無しで駐在員を雇用することも可能です。

落とし穴3:オランダの 労働安全衛生規則を考慮しない

これを見過ごすのは、外国から進出してくる企業だけではありません。2016年、オランダの企業のうち労働安全衛生規則を含む労働条件法を完全に遵守しているのは全体のわずか45%でした。この実態に対して、企業に対するオランダ政府の取り締まりは年々厳しくなってきています。現地の法令へのコンプライアンスを怠ると、ペナルティや罰金の対象となります。これは、特に現地でビジネスを立ち上げたばかりの進出企業には大きな痛手です。物理的な就業場所を有する全ての企業は、オランダの労働安全衛生規則にて定められている基準をクリアしているかどうかを確認することが必要です。

落とし穴4:オフィスの所在地の選択肢をランスタッド地域に限定する

オランダの首都、アムステルダムは誰もが知っている都市です。また、オランダの中でもアムステルダムを含むランスタッド地域(アムステルダム、ハーグ、ロッテルダム、ユトレヒト)は、オフィスの設立場所として最も人気のある地域です。ランスタッド地域の大都市にはそれぞれ利点がありますが、例えばロッテルダムは港に近いから、といったような特別な理由がない限り、これらの4大都市以外も視野に入れてみることをお勧めします。オランダは各地方にビジネスの特色があり、ランスタッド地域以外にもより貴社のビジネスに適切なロケーションが存在する場合があります。また、人口が集中するランスタッド地域に比べて、オランダの中でも比較的人口の少ない地域に拠点を置くことでコスト削減が期待でき場合もあります。オランダの地理と各地方のビジネスの特色について説明したブログ記事はこちらからお読みいただけます。

落とし穴5:何でも自社でやらなければならないと思い込む

オランダが外国から進出してくる企業にとって魅力的な理由のひとつに、オランダ以外の国の習慣や言語を受け入れている寛容なビジネス文化が存在するということがあります。オランダでは、日本をはじめとする国外からの参入企業向けに、現地でのビジネスを設立および運営するための専門的なサポートを提供する企業が多く存在しています。

私たちオクタゴン・プロフェッショナルズは、オランダ進出したばかりの企業からオランダ歴の長い企業に対して、雇用契約作成から毎月の給与事務代行まで人事業務のアウトソーシングを提供しています。特に事業展開を始めたばかりの企業にとっては、人事担当を採用するよりも必要に応じて人事業務を外部委託する方がスムーズにいく場合があります。当社ジャパンデスクが何をお手伝いできるか、お気軽にご相談ください。